住まいのコラム

木材の耐久性の特長とおすすめの天然木7選|耐久性を低下させる原因も解説

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新築であれ、中古であれ、木造の住宅を購入する場合には、使用されている木材の質や状態が気になるものです。耐久性の高い木材が使われているかを調べたいと思っても、よく分からないという人は多いようです。この記事では、住宅に使用される木材に求められる耐久性について解説します。耐久性を高める方法や耐久性の高い天然木なども併せて紹介しているので、参考にしてください。

木材の耐久性と特長

木材の耐久性と特長

住宅に使用される木材の耐久性とは、木材が外からの物理的な負荷や化学的な影響に対して、どれだけ機能を保ったり、劣化を軽減できるかを示す性能のことです。次項から木材の耐久性と特長を解説します。

腐りやすいイメージが強い

木材の特長を考えたときに思い浮かぶのが、「腐りやすさ」です。木材は、確かにプラスチックや金属などと異なり、朽ちて形が崩れ、土にかえります。そのため「木材は腐りやすい」というイメージが強いのだと思います。しかし、一概には言えず、腐りにくい木材などもあります。

腐敗とシロアリへの耐久性

木材は、腐敗やシロアリ被害が心配というイメージを持つ人も多いでしょう。日本の住宅では、湿気を要因とする腐敗やシロアリへの対策が特に重要です。そこで「木材の耐久性」を表す場合に、腐朽菌とシロアリの被害を免れる性質の強さや有無のことを指すことも多いです。

本当は鉄・コンクリートより強い

木材の持つマイナスイメージを取り上げましたが、本当は丈夫であり、鉄やコンクリートより強い面がたくさんあります。素材の強度は、加重に対する強さである「圧縮強度」や、引っ張られることに対する強さである「引張強度」などで表されますが、木材と鉄やコンクリートを同じ質量として比較した場合、木材の強度はいずれも数倍高いというデータもあり、軽くて強い素材です。また、木材を劣化させる条件があり、その条件に合致しない限り、朽ちることはありません。

木材の寿命は長い

木材を劣化させる条件とは、水分・酸素・湿度などが関係します。例えば劣化の大きな原因となる腐朽菌は、水分と酸素の2つが十分にある場所でしか活動できません。世界最古の木造建築とも言われている法隆寺の柱が腐らないのは、雨などの水がかかっても下に流れていき、水はけと風通しのよい構造になっているからです。
ただ木材の中でも大きく針葉樹と広葉樹に分かれ、耐久性が異なる結果が学術報告されています。その中で檜は、伐採後から長い年月をかけて少しずつ強度が増していく性質があることも明らかになっています。檜は寿命が長い建材なのです。また、同じ檜であっても部分によって性質が異なりますので、解説します。

心材

木の幹を輪切りにすると、中心に近い赤みをおびた部分「心材」と、外周部の白っぽい部分「辺材」があります。心材は、木自体を支える役目を担っています。腐朽菌や虫の嫌がる物質を多く含み、水の通り道である穴もふさがっているため、辺材よりも腐朽やシロアリ被害に強く、腐りにくく、耐久性が高いという特長があります。

辺材

辺材は、根から吸い上げた水分や養分を運んだり、葉でつくった養分を蓄えたりする役目を担っています。心材と逆の性質を持ち、腐朽やシロアリ被害に弱く、腐りやすく、耐久性が低いという特長があります。一方、薬液注入処理やパルプ加工などは、施しやすいという面もあります。

木材に求められる耐久性

木材に求められる耐久性

木材に求められる性質には、さまざまなものがあります。耐久性と強度、耐熱性などは厳密には異なる種類の性質ですが、ここでは合わせて解説します。

耐朽性

耐朽性とは、木の成分を分解する腐朽菌に対する抵抗力の強さ(抗菌性)のことであり、耐朽性(抗菌性)が高い木材は、腐りにくい木材とも言えます。耐朽性(抗菌性)は、抗菌作用や防虫作用を持つ物質(フィトンチッド)によるもので、心材が腐りにくいのも、このフィトンチッドを多く含むためです。

耐水性

耐水性とは、水の通過または浸透させない性能のことです。腐朽菌の繁殖には水分が大きく関わることから(水分が多いほど繁殖しやすい)、耐水性の度合いは腐朽の進み具合に大きく関係します。タンニンを含むクリや、ヒノキオールを含む檜(ヒノキ)は、耐水性が高い木材の代表格です。

耐蟻性

耐蟻性とは、蟻(アリ)による被害の受けにくさを示す性能です。シロアリが木造の家の建材である木材を食べてしまう「シロアリ被害」は、心材の耐朽性や耐水性などの耐久性を低下させるため、木造住宅に長く住むためには、耐蟻性も非常に重要です。

強度

建材として重要な強度には、先述した「圧縮強度」と「引張強度」に加え、「曲げ強度」「せん断強度」があります。曲げ強度は曲げようとする力に対する強さ、せん断強度は引きちぎろうとする力に対する強さのことです。木材は重さに対する強度が高く、同じ重さで鉄やコンクリートの強度と比較した場合、引張比強度で木は鉄の約4倍、コンクリートの約225倍強く、圧縮比強度で木は鉄の約2倍、コンクリートの約9倍強いと言えます。

耐火性

木は燃えやすいというイメージがありますが、耐火性において、鉄やアルミの性能を上回ります。確かに木材は燃えやすいですが、数分程度で燃えた表面部分が炭化し、内部まで火が移るのを防ぐ性質があります。内部は燃えずに残るため、それまでに消火できれば、建物が倒壊したりしません。一方、金属は燃えないものの、一定以上の温度に達すると内部も含め一気に耐久性が失われます。

木材の耐久性が低下する主な原因

木材の耐久性が低下する主な原因

木材の耐久性が低下する主な原因について、解説します。

菌などによる腐朽

木材に変色や軟化、へこみ、キノコの発生が見られた場合、(木材)腐朽菌による腐朽が進んでいます。これら腐朽菌による腐朽は、耐久性が低下する主な原因になります。腐朽菌は、水分の多い、じめじめした場所を好み、そのような環境下では木材の腐朽が起きやすくなります。

シロアリなどの害虫

木材の害虫のほとんどが、シロアリの食害です。シロアリが食べたことにより、表面に欠損が生じたり、内部に多くの穴があいてスポンジ状になったりすると、耐久性が大きく低下します。最も多くの被害を与えているのは、ヤマトシロアリとイエシロアリです。なお、シロアリ以外の虫害には、ヒラタキクイムシによる食害があり、同様に木材に穴をあけます。

紫外線・風雨による風化

木材の耐久性は、紫外線や風雨などによる風化によっても低下します。風化は、日光による酸化(光酸化)や紫外線により、木材の骨格を形成しているセルロースを補強する役目を持つ成分(リグニン)が分解され、それが風雨で流されることによって起こります。風化は木材の表面から起こり、表面が荒れることで、より内部まで紫外線や風雨の影響が及ぶようになり、木材はもろくなっていきます。

木材の耐久性を向上させる方法

木材の耐久性を向上させる方法

住宅には、檜をはじめとした耐久性の高い木材を使用し、耐久性を向上させる処理を施すことが重要です。処理の方法について、解説します。

木材を十分に乾燥させる

伐採前の生きている木は、多くの水分を含んでいます。木材を十分に乾燥させて水分量(水分含有量)を減らし、腐朽菌などが生息できない環境にすることで、木材の耐久性を向上できます。薬剤などが心配な人にとっても安心な方法です。

木材の表面を焼き炭化させる

木材の表面を焼いて炭化させることで耐久性を高める、伝統的な方法です。炭化させることにより、木材に含まれる水分や有機物を大幅に減少させ、酸素が内部へ届くことを防ぎます。腐朽菌や虫が好む環境ではなくなるため、耐久性が大幅に向上します。この方法も薬剤を使わないため、環境や人体に優しい方法です。

木材に防腐・防蟻・防火のための薬剤処理をおこなう

木材に菌類や虫などを駆除・防除する薬剤を含ませる方法です。圧力をかけて木材の内部に薬剤を浸透させる「加圧注入処理」、薬剤で満たした水槽に木材を浸す「含浸処理」、木材の表面に薬剤を塗る「表面処理」などがあります。環境や人体に対する安全性の高い薬剤の開発も進んでいます。

木材に塗装をおこなう

撥水性能や防腐・防虫性能を持つ塗料を塗ることで、木材にその性能を持たせることができます。塗料は薬剤を入れた塗料と自然由来の塗料があります。自然由来の塗料を使うことで、性能を天然木に近づけることも可能です。塗料は「油性」「水性」の違いによっても、性質や効果が大きく異なるため、特長をよく理解した上で選ぶことが大切です。

建材としておすすめの天然木7選

建材としておすすめの天然木7選

木材の種類によって、耐久性が異なります。日本で建材としてよく使われる7種類の天然木について、解説します。

檜(ヒノキ)

檜は、抗菌・防虫作用のあるヒノキオールや木材腐朽菌の繁殖を抑制するαカジノールといった成分を含み、菌や虫に対する耐性が高い木材です。耐久性の高い木材として知られ、古くから神社仏閣から住宅まで、土台や重要な骨組みとなる構造材として重宝されてきました。さらに、木肌が美しく、香りもよいため、壁や床、天井などの内装材としても人気が高い木材です。

桧葉(ヒバ)

桧葉は、抗菌・防虫作用のあるヒノキチオール(ヒノキオールとは異なる成分)などを含み、菌や虫などに対する耐性が高い木材です。ヒノキチオールの含有量は、檜の約10倍とも言われており、シロアリ対策への高い効果が期待できます。檜と同様に、土台や重要な骨組みとなる構造材などとして、幅広く活用されています。また、檜と比較すると安価であることも特長です。

杉(スギ)

杉は、木材の中では柔らかく、加工しやすいのが特長です。心材部分にはそれなりの耐久性がありますが、構造材としてよりも、角材や板材へと加工され、内部の仕上げ材(天井板や床版、階段、陳列棚)として活用されることが多いです。また香りがよいことから樽や桶に使われたり、加工のしやすさから民芸品や家具の材料としても使われます。

栗(クリ)

栗は、水気や菌・虫に強く、特に腐朽に対する耐性が高いのが特長です。昔から木造住宅の土台や浴室の用材として重宝されてきました。またその耐久性の高さに加えて、木目が美しいことから、床や階段、棚、テーブルやイスなどにも、広く活用されています。

欅(ケヤキ)

欅は、非常に硬く、しなやかで強く、腐朽に対する耐性が高いのが特長です。木造住宅の大黒柱や柱といった骨組みなどの構造材として活用されています。また、木目が力強くて美しく、和箪笥や和机など和家具の材料として重宝されていました。ただし非常に硬いことから、加工には高い技術を要します。又、広葉樹であるケヤキは檜と異なり、年数が経つにつれて強度は低下します。

松(マツ)

松は、他の杉や檜に比べ油分が多く、曲げ強度が高く、粘り強く密度が高いのが特長です。めり込みにくく潰れにくい、傷つきにくく擦り減りにくい為、梁・桁などの構造材として重用されます。

楢(ナラ)

楢材は重厚感があり、液体が染み込みにくい高い耐水性を持ち、その上、木目の美しさが特長的で、家具や床材に利用されます。さらに防虫効果の高い「タンニン」が多く含まれることから、水廻りでの使用に適した木材です。

まとめ

まとめ

この記事で解説してきた通り、木材は、鉄やコンクリートよりも丈夫な優れた建材です。また、木の持つ温もりと優しさ、木目の美しさは何にも代えがたい魅力があります。ただし、これら特長を活かすには、さまざまな木の特長を正しく理解し、高い技術を持って扱うことが必要不可欠です。木造住宅を建てる際は、そのことを考慮して住宅メーカー・工務店を選ぶとよいでしょう。

日本ハウスHDでは、木材一つ一つの材質にこだわり、耐久性と美しさを兼ね備えた木造住宅をつくっています。綿密なコミュニケーションを大切にし、専属の棟梁・職人が責任を持って、希望の家づくりを叶えます。