住まいのコラム

木造住宅の構造は2種類ある|耐久性や耐震性を比較してみよう

木造住宅の構造イメージ

木造住宅の構造は、「木造軸組工法」と「木造壁式工法(ツーバイフォー)」の2種類があり、異なる特徴をもっています。そこで、木造住宅の構造によって、コストや耐久性の違いを知りたいという人に向けて、木造住宅の種類や違いの比較やメリット・デメリットについて解説します。

この記事を最後までご覧いただき、木造住宅にすべきかどうかを判断する際の参考にしてください。

木造住宅の構造は2種類に分けられる

木造住宅の構造は2種類に分けられる

木造住宅の構造には、「木造軸組工法」と「木造壁式工法(ツーバイフォー)」の2種類があります。以下で、詳細を解説します。

木造住宅の構造1:木造軸組工法

木造軸組工法とは、日本古来の工法で、柱と梁で補強しながら骨組みを築く建築手法のことです。在来工法とも呼ばれています。柱に梁を渡し、屋根を先行して建築するといった、日本の気候風土に合わせた工法です。

木材の接合部は、木材を加工し、補助金物で接合する特徴があります。木材の接合部に金物を使用する在来工法に対し、金物補強をしない工法のことを伝統工法と呼びます。木造軸組工法は、金物を使用するなど、伝統工法を現代建築に発展させた建築手法です。

木造住宅の構造2:木造壁式工法(ツーバイフォー)

木造壁式工法(ツーバイフォー)は、2インチ×4インチの木材でつくったパネルで組み立てていく建築手法です。日本古来の工法ではなく、北米から伝わった工法です。接合部は、釘と接着剤を利用します。使用する角材やパネルのサイズはあらかじめ決まっているため、高度な専門技術がない人でも、短い工期で組み立てられる特徴があります。

木造軸組工法との違いは、北米の気候に合わせて建てる建築手法である点です。木造壁式工法(ツーバイフォー)では、1階の床・壁、2階の床・壁の順序で行い、屋根は最後に組み立てる為、木造軸組工法に比べ、雨養生をしっかり行える業者を選ぶ必要があります。

構造による違いを徹底比較

構造による違いを徹底比較

構造によって異なる点は、ほかにもあります。ここでは、耐震性や防火性、間取りの自由度などを比較し、それぞれの違いを解説します。

耐震性があるのは?

耐震性の基準は建築基準法によって定められており、どちらの構造で建てた場合でも、ある一定レベルの耐震性能があります。以前は、面で住宅を支える木造壁式工法(ツーバイフォー)のほうが、線で支える木造軸組工法よりも高い強度の住宅を建てられると言われていましたが、現代の木造軸組工法は、耐力壁に筋違いの代わりに構造用合板を使うなど、木造壁式工法(ツーバイフォー)のよさを取り入れている木造軸組工法もあるため、どちらの工法が優れているとは言い切れません。

防火性があるのは?

面が多い木造壁式工法(ツーバイフォー)は、炎を跳ね返しやすいという特徴があります。そのため、木造軸組工法よりも木造壁式工法(ツーバイフォー)のほうが、防火性が高い住宅を建てる際に適しているといわれていましたが、近年では、木造壁式工法(ツーバイフォー)の防火性の高さを応用したファイヤーストップ材を用いた工法と木造軸組工法を組み合わせて使用するハウスメーカーや工務店も多くなっています。

新しい技術を取り入れることで、防火性においても、それぞれの工法に差がなくなってきています。

自由な間取りが実現しやすいのは?

設計の自由度で比較した場合は、木造軸組工法のほうが適しているといえます。木造軸組工法は、柱と梁で点と点を結ぶように住宅を建築するため、空間の広さや形を自由に設計しやすい特徴があります。

一方、木造壁式工法(ツーバイフォー)は、あらかじめパネルのサイズが決まっているため、施工段階で間取りを変更するなどの柔軟な対応ができません。住宅の間取りを自由に決めたい場合はもちろん、変形地や狭小地などに木造住宅を建築する場合は、木造軸組工法がおすすめです。

開口部を大きくしたい場合は?

「開口部を広くしたい」や「大きな窓を設置したい」などのこだわりがある場合は、木造軸組工法がおすすめです。木造軸組工法は、柱と梁で住宅の骨組みを建築するため、柱の間隔を狭くしたり広くしたりするなどの対応によって、開口部の大きさを自由に調整できます。

一方、木造壁式工法(ツーバイフォー)は、すでにパネルの大きさが決まっていることから、開口部の調整をしづらいといった特徴があります。

リフォーム時に間取りを変更しやすいのは?

子供の成長や独立、高齢の親との同居など、家族構成の変更に合わせて、大規模なリフォームを検討している場合は、木造軸組工法がおすすめです。木造軸組工法であれば、構造上に問題がない柱や壁を取り除けるため、建築後のリフォーム時にも間取りを変更できます。

一方、木造壁式工法(ツーバイフォー)は面で住宅を支えているため、木造軸組工法ほど臨機応変にリフォームを行えません。

木造住宅のメリットを確認

木造住宅のメリットを確認

木造住宅を建てるメリットにはどのようなものがあるのか、以下で解説します。

木造住宅のメリット1:コストがお手頃

鉄筋コンクリート造などに比べると、木造住宅のほうが安い費用で施工できます。鉄骨系の素材を使用する場合、防サビ処理や耐火処理などに費用がかかりますが、木材は材質や厚みなどによる調整で一定レベルの耐火性を確保できるため、これらの処理費用がかかりません。

鉄筋コンクリート造はその重量に耐えうる基礎をつくるための費用が必要ですが、木造住宅は軽量な構造のため、基礎工事の費用も安く抑えられます。

また、地球環境においても木造は生産時のCO2排出量が鉄・コンクリートに比べて少なく、環境にやさしい素材です。

木造住宅のメリット2:湿度の調整効果がある

木造住宅のメリットは、鉄骨系の素材に比べ、調湿性に優れている点です。調湿とは、室内の空気が乾燥した場合は木材に含まれる水分が空気中に放出され、逆に、湿度が高くなると木材が室内の水分を吸収するといった作用のことを意味します。調湿効果により、快適な空間を維持できるほか、カビや結露の発生を抑制する効果も期待できます。

カビや結露を放置すれば、住宅が傷みやすくなるため、いかにこれらの対策を行うかが住宅を長く保つうえで重要です。

木造住宅のメリット3:耐火性に優れている

木材・鉄の加熱による強度の低下グラフ。

鉄は木材よりも燃えにくい性質をもちますが、高温の火によって急激な変形が起こりやすい素材です。木材は、鉄よりも燃えやすい特徴があります。一方で、木は鉄に比べて燃えても形を維持できると言われています。つまり、火災発生時において木造住宅は、鉄骨住宅よりも住宅の強度が落ちづらいというメリットがあるのです。

これにより最近ではその特長を生かした型(燃えしろ設計)で、防火地域でも木造建築が認められてきています。実は海外では木造の方が耐火性能が高く評価されています。

木造住宅のデメリットを確認

木造住宅のデメリットを確認

木造住宅を建てた場合、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットも確認したうえで、住宅の建築を検討しましょう。

木造住宅のデメリット1:職人によって仕上がりに差が出やすい

木造住宅で建てる際は、現場での木材の加工が必要になるケースも少なくありません。その場合、職人の技術の高さによって住宅の仕上がりが左右されます。よい家を建てたいのであれば、過去の実績や、実際にそのメーカーで建てた人の口コミ、そして一番は建築現場を見る事、その上で施工会社や職人を選ぶようにしましょう。

木造住宅のデメリット2:鉄骨と比較すると耐久性・強度が低め

木造住宅は、耐火性には優れているものの、耐久性や強度は鉄骨よりも低い傾向にあります。ただし、木材でも定期的なメンテナンスを行うことで、安全な状態を長く保つことも可能です。数百年前に建てられた社寺仏閣が現代にも残っているように、木材は鉄やコンクリートと比較しても本来、長持ちしやすい性質をもちます。木材の腐食を防ぎ、シロアリ対策を施すことで、木造住宅を長く保てます。

耐久性を保つつくり方、メンテナンスの仕方をしっている実績のある会社を選びましょう。

木造住宅のデメリット3:害虫の被害に遭うこともある

上述したとおり、木造住宅はシロアリなどの害虫が発生するリスクがあります。とくに、シロアリは木材を食べるため、被害が大きくなれば、住宅が倒壊する恐れがあります。木造住宅において、害虫による被害を最小限に抑えるためには、薬剤散布や防蟻点検などの定期的な実施が必要です。

参考情報:世間での木造住宅の印象は?

参考情報:世間での木造住宅の印象は?

世間一般では、木造住宅に対してどのような印象を抱く人が多いのでしょうか。以下では、木造住宅に対する一般的な印象をいくつか紹介します。

木の暖かみやぬくもりを感じられるといったよい面もあれば、木材ならではの手入れが必要で手間がかかるといった意見も多いようです。木造であれ、鉄筋コンクリート造であれ、それぞれにメリット・デメリットがあるため、よく比較検討するようにしましょう。

まとめ

まとめ

近年は複数の工法を組み合わせることで、木造軸組工法の性能も高まっており、木造壁式工法(ツーバイフォー)との差がなくなりつつあります。また、木造住宅は耐震補強や定期的なメンテナンスで、安全性を長く保てます。

日本ハウスHDは、直営工事や耐震施工が可能なほか、一貫した担当窓口やアフターサービスの充実などに強みがあり、自由度の高い施工にも応じられるハウスメーカーです。高品質な桧の使用や、ゼロエネなどを実現できる住宅にも対応できます。興味がある人は、カタログや資料請求がおすすめです。